2011/06/26

カンボジアで働く吉川舞さん

随分前の話になるが、今年1月に、カンボジアで働く吉川さんに会うべく、
カンボジアはシュムリアップに行ってきた。

僕は幸いにもとても尊敬する友人が何人がいる。
彼女はその中でも、己の信念に基づき生きていて、
いつも刺激をもらっている本当に尊敬している友人の一人である。

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*彼女が働く「バイヨン」という遺跡。
 真っ青な空の下に佇む遺跡はただただ美しかった。

■吉川さんとの出会い


「カンボジアで起業しようとしている奴がいるぞ」


とある友人経由から、こんな衝撃的な紹介を受けたことを今でも鮮明に覚えている。
「え、カンボジア?しかも起業?どういうこっちゃい!?」といくつもの?が
頭に思い浮かんだ。

当時の僕は、就職活動も終わった大学4年生。
海外なんて興味はなく、カンボジアに至っては地雷と戦争のイメージしかなかった。
そんなドメスティックな僕に彼女はガツーンと刺激を与えてくれたのだった。

彼女の第一印象はまさに「弾丸」そのものだった。
大学2年次にカンボジアと出会ってから、それからはずっとカンボジアに
のめり込み、卒業後はカンボジアで働くという。
*のめり込み過ぎて、当時は大学5年目に突入していたが笑、

「なぜカンボジアなのか、なぜ起業しようとしているのか」

あまりにぶっ飛んでいた話だったので、聞いてみるとそこには
彼女の苦悩と葛藤の末に導かれた結論だったんだと納得することになった。


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*吉川さんが働く村での一コマ。余りにかわいくてカンボジア移住を考えました。


■カンボジアとの出会い
実は吉川さんは元々カンボジアに興味があった訳ではない。
彼女の親が昔から世界各地の遺跡を調査している関係で、
幼い頃から、自然と遺跡に興味を持つようになったとのこと。

「将来の夢はユネスコで働くこと!」

そう思い、大学進学も遺跡について学びたいと思い、
早稲田に進学。

しかし、希望していた授業はことごとく選外となりテンションが一旦落ちかける。
それではいかんということで、自分で世界各地の遺跡を観て回ろうと、
主にヨーロッパ各地を巡る旅に出る。

ただ、見て回れば回るほど、自分の入り込む余地がないことを
痛感したという。

そんな中、とあるスタディツアーでたまたま訪れた先がカンボジアだった。
そこで彼女は衝撃を受ける。

「カンボジアの人たちはその地にどっしりと根を張って生きていた。
 たった10歳くらいの子供でも、その中で自分の役割を全うしていた。
 一方、当時20歳の私は何がやりたいのかも分からずふらふらしている。。
 一体これってどういうことなんだろうか」

それと同時に「この人たちからもっと学びたい」
そういった思いが徐々に込み上げてきたとのこと。

そうしてカンボジアにのめり込む日々が始まった。

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*カンボジアは大地の力をとても感じる。

■日本、それともカンボジア?
それからは学生時代の大半をカンボジアにささげる日々が続く。
月日は巡り、彼女も就職を考えなければならない時期に差し掛かる。

2008年の就職活動の状況は「いざなぎ超え」といわれたまさに
好景気真っ只中。

今じゃ信じられないけど、「内定いくつもらったか」
を酒の肴に飲むみたいな状況でした。
だから就職しないなんて選択肢は当時からしたらありえないことでした。

「日本で一度就職するか、それともカンボジアでいきなり働くか。。。」

当時はかなり葛藤したみたいです。
実は就職活動も少ししていて、内定ももらっていたみたいです。

しかし、彼女からどうしても消し去ることが出来なかった「カンボジア」。

普通に考えれば、一旦日本で働いてからカンボジアで働いても
いいんじゃないかと思います。けれども彼女はそれが嫌だった。

「大好きなカンボジアで、大好きなカンボジア人たちと、この国の
行く末を見届けたかった。急速に発展しているカンボジアで、
一年もいないと取り残されてしまう。そうなったらもう戻って来れない」
そう思ったという。

とはいえ、彼女の前にはもう一つ大きな壁にぶち当たります。
「仕事はどうするのか」ということです。

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*神々しいまでの遺跡

思い悩んだ末に出てきた結論は「仕事を創る」こと。
当時、カンボジアの主要観光地であるシュムリアップには
既に沢山の日本人観光客が訪れていた。

しかし、各旅行会社も似たようなツアーばかり。
観光客としても旅行会社としても新しいツアーがないかと
潜在的なニーズが高まっていた。

彼女はそこに気がつき、今までにない新しいツアーを創ることで、
生きていこうと決意。

学生時代から縁があった遺跡修復センターに、籍だけを置かせて
もらい、「遺跡修復現場を巡るツアー」を旅行会社に企画提案。

彼女の予想はどんぴしゃで当たり、見事に新しい仕事を自ら創り、
今はそこからの収入で、カンボジアでたくましく生きている。

■人生というゲームに参加するということ


そんな彼女も今年でカンボジア生活4年目を迎えている。
元々シュムリアップ自体、数多くの日本人が訪れる土地であったこと、
さらに彼女のような珍しく面白いツアーを実施しているところが
少なかったため、数多くのお客さんがこのツアーを利用してくれたとのこと。

昨年1年間だけ約1000人以上の方たちをアテンドし、
中には国を動かしているレベルの方たちもアテンドし、仲良く
なったとのこと。。。

彼女をみていると本当に意思あるところに人が集まって、
結果的に道が開かれていくんだと痛感する。

しばしば、就職先に悩む後輩たちに彼女を紹介するときがある。
中には「いやー吉川さんだからこそ出来たと思いますよ。」と
ある種彼女を特別扱いしてしまっている学生もいる。

もちろん、彼女と全く同じ道を歩むのは無理だと思うし、
その必要はない。
それぞれのストーリーがあって、その人なりの道を歩めばいい。

ただ、自分なりの道を歩むにあたって、彼女から学べることは
多い。

ツアーの話にしたって、同じようなことを思っていた人は多いはず。
けれども、実行に移したのは彼女だけだったのだ。
それ以前に、内定を蹴ってまで、こちらで働くという「意思」
がなければ、今の仕事は生まれていなかっただろう。

僕からみると彼女は本当に頭が良くて、普通に働いていても、
恐らくかなり期待をされて、不自由のない丘陵をもらい、
バリバリ働いていたんじゃないかと思う。
けれども、彼女はその道を選ばなかった。

ある程度予想できる未来ではなく、先の見えない、けれども、
自分が歩みたい道を自分の意思で選び、今確実に道を作っている。


「リスクをとらないとリターンは得られないんだよ」

これは昨晩、とある事業家の方とご一緒させてもらったときに
頂いた言葉である。

人生を壮大なゲームだとすると、自分が求めるリターンを得るためには
それなりのリスクをとらないといけない。

いくら理想論を語ろうが、頭が良かろうが、自分自身が体を張って
リスクを取っていなければ、周りの人たちは応援しないだろうし、
自分が得たいとリターンも得られるはずがない。

「日本人の大半は、リスクを恐れる余り、人生というゲームに
参加すらしていない。」ということもおっしゃっていた。

この言葉を頂いたとき、真っ先に思い浮かんだのは吉川さんだった。

今の彼女の姿を見ていたら、仮に学生の頃知らなくても、
応援したくなってしまうし、自分が出来ることは何でもしたいと
自然と思ってしまう。
それだけ彼女は魅力的だし、覚悟を持って働いているからなんじゃないか。

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*村で出会った少年。いい笑顔^^

■吉川さんのこれから

そんな彼女だが、決して順風満帆な訳ではない。
ツアーにはまだまだ改善点が多いらしく、日々その改善に取り組んでいる。
またいつまでも吉川さんだけがガイドしているのではなく、
後継者も育てていかなければならない。

さらには新しいツアーも創っていこうとしている。


彼女がやりたいことは
「遺跡」と「観光」の距離をもっと縮め、
持続可能な形での新しい遺跡保存のあり方を生み出すことである。

世界的にもまだ事例がない取り組みで、日々試行錯誤をしている。
もちろん、この取り組みに対して、全員が賛成している訳ではなく、
反対する人も多いという。

けれども、彼女は今の生き方を変えないだろうし、これからも意思を持って、
未踏の分野を切り開いていくに違いない。
こんな友人を持てて、僕は本当に幸せ者だと思う。

彼女の一友人として、彼女と切磋琢磨できるように、
自分もこの地でやっていきたい。


もし、カンボジアに行く予定がある方はぜひ吉川さんに
会って欲しいと思う。

彼女のツアー自体も無茶苦茶勉強になるし、
この生き様をみておくだけでも、その後の自分の進路を考える際にも
役立つのではないかと思っている。

*彼女が取り上げられた記事を最後に紹介しておきます。
カンボジアに就職した吉川舞さん


それでは今回は以上です。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方、
いつも本当にありがとうございます!

川村



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Posted by やっつ at 04:48│Comments(0)海外で働く人
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